近くて遠かった奈良

[弁護士 山下 悠太]

皆様、はじめまして。昨年12月から奈良合同法律事務所で執務を開始しました、山下悠太と申します。

出身は一応、奈良です。一応、というのは、実家は奈良にあるものの、奈良を拠点に活動した経験があまりないからです。小学校時代は、大阪の八尾市で育ちました。中学生のときに奈良に引っ越してきましたが、中学高校は神戸まで通いました。大学は東京。法科大学院は神戸。司法修習も神戸。というわけですので、奈良に実家があるわりには、あまり奈良を知らないのです。

しかし2ヶ月とはいえ、いざ勤務を開始してみると、どんどん奈良のことが見えてきます。多くの依頼者さんとお話をしました。事件や事故の現場もたくさん回りました。そのたびに近くて遠かった奈良の現状を知ることができ、毎日新鮮な気持ちで仕事に取り組んでいます。

新人の立場に甘えることなく、日々研鑽を積んで参ります。ご指導ご鞭撻のほど宜しくお願いいたします。

生活保護担当職員の「保護なめんな」ジャンパーに驚き

[弁護士 佐藤 真理]

神奈川県小田原市の生活保護業務を担当する生活支援課の歴代職員64人が「HOGONAMENNA(保護なめんな)」とローマ字でプリントしたジャンパーを自費で作成し、業務中に着用していたことが判明した。ジャンパーの胸には漢字の「悪」をデザインしたエンブレムがあり、背面には、「我々は正義だ」「不当な利益を得るために我々をだまそうとするならば、あえて言おうクズである」などと英語で書かれている。

2007年7月に窓口で職員3人が生活保護を打ち切られた男に切り付けられるという事件が発生し、それがきっかけで、「気分を高揚させ、連帯感を高めよう」と当時の職員が始めたようだと報じられている。

しかし、そういう事件がきっかけというなら、何故、保護打ち切りの対象者が激怒したのか、保護打ち切りを回避する道はなかったのか等の真摯な検討が必要だったのではないだろうか。生活支援課の職員らには、生活保護は憲法25条で保障された権利(生存権)であるとの意識が欠如していたのではあるまいか。

許しがたい事件であるが、背景には、国の方針に基づき生活保護受給者を削減しようとの「水際作戦」がある。市町村窓口では、保護申請を容易に受け付けようとしない傾向があり、保護開始まで時間がかかり苦労した経験が何度もある。

2014年9月、千葉県銚子市内の県営住宅で家賃滞納のため強制撤去となったその日、43歳の母親が無理心中を決意し、中学2年生の娘を殺害した事件がある。健康保険料も滞納するほどの生活苦で、母親は「家を失ったら生きていけない」と思い詰めた果ての事件であった。千葉県が家賃の減免措置をとらずに明け渡し請求訴訟、強制執行に及んだこと、市役所の窓口に二度も訪れた母親に「申請してもお金はおりない」などと述べて、生活保護の申請を勧めなかったこと等が判明した。母親は、刑事裁判で懲役7年の実刑判決を受け、今受刑中である。真に裁かれるべきは、憲法25条を踏みにじる、政府と行政の責任ではないだろうか。(新井新二外編『なぜ母親は娘を手にかけたのか(居住貧困と銚子市母子心中事件)』旬報社を参照ください)

第193国会が今月20日から始まり、安部首相は、施政方針演説で「かつて毎年1兆円ずつ増えていた社会保障費の伸びは、2016年度に続き、2017年度予算案でも5000億円以下に抑えることができた」と胸を張ったが、社会保障のさらなる連続改悪が狙われているのである。大企業の経常利益は、3年間で1・5倍近くに増え、大企業の内部留保は386兆円に達している一方、労働者の実質賃金は4年前に比べ年収が19万円も減り、家計消費は15か月連続でマイナスとなっている。働きながら生活保護基準以下の収入しかないワーキングプア世帯は、20年前の就業者世帯4・2%から同9・7%と2倍以上に増加するなど、貧困と格差が急速に広がっている。軍事費は5年連続で5兆円を越え、海外派兵型の装備を増強している。まさに、「大砲よりバターを」に逆行する予算と言わざるを得ない。

「米国第一」を宣言するトランプ米国新大統領のもとで、「日米同盟第一」を唱えて、さらに米国にすり寄ろうとする安倍政権は、最悪の組み合わせである。在日米軍基地のさらなる負担増ばかりか、戦争法発動により、米国の戦争に巻き込まれ、自衛隊員が「殺し殺される」事態に直面しつつあることが強く懸念される。

安倍政権を早期に退陣に追い込み、憲法が活かされ、「誰もが人間らしく生き、働ける社会」の実現を目指して、今年も頑張る決意である。
(2017年1月30日)

カテゴリー: sato

里山

[ 事務局 田原隆子]

大和郡山市矢田町に、里山を生かし古民家を移築した奈良県立大和民族公園があります。四季それぞれの花が楽しめますし、果樹もたくさん植えられており、高齢者の散歩や子供たちも自然に触れることができ、元気いっぱい遊びまわれるところです。

私もときどき散歩に行くのですが、あるとき畑や小高い丘の斜面が掘り起こされていました。よく見るとイノシシの足跡がついています。矢田丘陵の里山は、イノシシや猿の出没で、畑や田んぼを荒らされているのです。農家のおばぁちゃんは、何を植えても食べられてしまうから、もう辞めや、なんてこぼしています。

ずいぶん前に、当事務所の吉田弁護士が奈良の鹿愛護会を相手に鹿害訴訟を取り組んだことがありました。保護されて増えすぎた鹿が市民生活を脅かしていたのです。その後、野生の鹿も増え、イノシシも出没、農家の被害はより甚大になっていることと思います。

また、今年は害虫による菌の繁殖で「ナラ枯れ」が大発生しました。これは社会的要因も大きいそうですが、たくさんの木が枯れてしまいました。

里山の恵みは人間だけのものではありませんが、かつて住み分けがうまくいっていた時代があったのです。自然を守り、豊かに暮らせる地球環境を取り戻そうとする「さとやま組合」という農事組合法人が矢田地区で活動していることを最近知りました。里山の魅力を守り、自然豊かに美しく有り続けますように、私たちの小さな一歩が求められています。

新米のおいしい季節です

[弁護士 岡本 洋一]

実は、私は炊飯器を持っていません。もっとも、以前は電気炊飯器があり、それを使っていました。

ところが、1年くらい前でしょうか、突然、電気炊飯器が壊れてしまいました。既に、お米を研いでしまった後でしたので、どうしたものかと思案しました。ふと、小さい土鍋があったことを思い出し、急遽それを使ってゴハンを炊くことにしました。水の量も炊き方などもよくわからないまま、とりあえず、土鍋にお米と水を入れて火にかけました。
土鍋から水が吹きこぼれるというアクシデントはありましたが、無事に炊きあがり、見た目には上々のゴハンになりました。恐る恐る一口食べると、そのおいしさにビックリしました。今まで、炊飯器で炊いていたときよりも、格段のおいしさでした。

その後は、炊飯専用の鍋を購入し、今ではその鍋を使って、ゴハンを炊いています。炊く量にもよりますが、私の場合には1.5合程度で、鍋を火にかける時間は10分程度です。それほど、時間と手間はかかりません。

折しも、全国各地の神社では新嘗祭が執り行われ、新米の出回る季節です。ご自宅でも鍋や釜でゴハンを炊いてみてはいかがでしょうか。ただし、炊飯中は水が吹きこぼれますので、できれば炊飯専用の鍋、釜をご用意ください。

「弁護士の年収が低下」?

[弁護士 吉 田  恒 俊]

先日の新聞に弁護士の収入が低下したという記事が出ていました。今年の3月に法務省が日弁連の協力を得て平成15年分について実施した調査結果の報告です。マスコミに人の懐具合を気にして貰わなくてもいいと思いますが、憲法と人権の擁護者としての弁護士の収入が低すぎたら、それどころではなくなるだろうという温かい配慮なのでしょうか。

記事によれば、5年前の平成10年に比べて、弁護士の収入は全体的に低下傾向にあります。登録1年目の新人弁護士は年収568万円で、5年前(平成10年)の778万円より27%も減っています。その原因として、サラ金事件が減ったことと弁護士の人数が増えたことを挙げています。それに加えて、日弁連は法的需要が伸びていないことも指摘しています。

気になったのは、「弁護士が以前ほど稼げない実態が浮き彫りになった。」との記事です。弁護士になる人は稼ぐためになったかのようで抵抗がありました。私は、どんな職業も稼ぐためというより、社会的役割という要素が大事だと思うのです。誰もが生活のために働いていることは間違いないのですが、同時にほとんどの職業には社会的役割があります。

今の職業を天職とする人にとっては稼ぎよりも仕事の方が大事なのです。人生の目的は自分の天職が何かを見極めてそれに邁進することだと思いますが、仮に今の職業が天職と思わなくとも、その社会的役割を自覚して取り組むという姿勢を常に心がけるべきだと思うのです。

確かに、私を含め多くの弁護士は収入が減っていると思いますが、幸いこれまで身近で食い詰めた弁護士は見かけませんでした。私は、大阪で弁護士になったときの所長弁護士から、「人のためにやっているという気持ちがあれば、困ったときは必ず誰かが助けてくれるから。」と教えられたことを思い出します。誰もが稼ぎだけを追い求めると、ぎすぎすした社会になりかねません。

日経の記事は意図するところはともかく、全体として弁護士の評価を引き下げています。この記事を見て司法試験の受験者がさらに減ることが心配です。
*日本経済新聞16/8/10朝刊

南スーダンから自衛隊の即時撤退を求める

[弁護士 佐藤真理]

政府与党が、多数の国民の声を無視して、安保法制(戦争法)を数の力で成立させた「9・19」から1年以上経ちました。今年の9・19には、全国300か所以上で、戦争法廃止、立憲主義回復を求める集会・デモが行われ、近鉄奈良駅前でも600人集会が開かれ、私が主催者を代表して挨拶しました。

1992年のPKO法制定後、日本はPKO参加5原則<停戦合意の成立、受入れ同意、中立的立場の厳守、これらの要件が崩れた場合には部隊を撤収する、武器使用は生命の防護のための必要最小限に限る>のもとで、自衛隊の海外派遣に踏み切り、国連PKOに参加してきました。しかし、国連PKO自体、かつての停戦監視・兵力引き離しなどを中心とする活動から内容が大きく変化しており、南スーダンPKOを含め、国連安保理から武力の行使を容認されるのが通例となっています。

南スーダンでは、本年7月に大統領派と副大統領派の大規模な戦闘が発生し、市民数百人や中国のPKO隊員が死亡しています。アムネスティ・インタナショナルは、この7月の戦闘の際、政府軍が多数の住民を虐殺し、レイプや略奪を行ったとする報告書を公表。同報告書では、反政府勢力が国連の避難民保護施設に逃げ込み、避難民を「人間の盾」にしたこと、国連施設の真正面で5人の兵士にレイプされた女性の証言なども紹介し、国連PKOが住民を保護する責任を放棄したとして、「失望した」と述べています。10月8日には民間人を乗せたトラックが攻撃を受けて市民21人が死亡するなど、暴力や武力衝突が増加しており、南スーダンの現状は、もはやPKO5原則が崩れていることは明らかであり、速やかな自衛隊部隊の撤収が必要です。

にもかかわらず、政府は、違憲の「改正」PKO法に基づき、南スーダンの国連PKOに参加している陸上自衛隊に対し、「駆け付け警護」と「宿営地の共同防護」の新任務を付与する構えです。

しかし、自衛隊員に、「駆け付け警護」や「宿営地の共同防護」などの新たな任務を付与し、これらの任務遂行のための武器使用を認めるならば、憲法の禁じた「武力の行使」に発展し、「殺し殺される事態」<自衛隊員が政府軍や反政府軍の兵士を殺傷したり、自らも犠牲になる事態>を招くことは避けられません。

「改憲」を公言する安倍首相は、戦前のような「軍事大国」を目指す「妄想」にとりつかれているに違いありません。この道は「亡国」の道です。憲法9条のもと、非軍事平和主義=「世界の紛争に軍事的に関与せず、紛争の平和的解決に徹する」という戦後71年に及ぶ平和国家・民主国家という日本の原点の大転換を狙う、安倍政権の暴挙を絶対に許すわけにはいきません。

南スーダンから自衛隊は速やかに撤収し、憲法9条に基づいた民生支援の抜本的強化に尽力すべきです。
(2016年11月1日)

カテゴリー: sato

年に2度楽しませてくれる桜

[番外編]
[事務局 長畑 学]

朝晩は肌寒ささえ感じる頃となり、木々も少し紅葉し始めました。
紅葉といえば、モミジやイチョウをすぐに思い浮かべます。
こうした派手さはありませんが、桜の紅葉もなかなか綺麗です。

ただモミジやイチョウと違って、1本の木全体や並木として見るのではなく、葉を手に取れるくらいの近さから一枚一枚見る方が綺麗だし楽しいと思います。
グラデーションがかかったような赤や黄、斑入りのような葉、虫に食べられた跡のあるもの、一枚一枚様子が違います。
落ち葉になっても、今落葉したばかりのようなみずみずしい(?)葉を手に取れば、思わず押花にしたいような気になります。

花の咲く時期のような華やかさはありませんが、紅葉も素敵で、桜は年に2度も私たちを楽しませてくれる、心憎い木です。
(2016/10/12)