活かそう!守ろう!日本国憲法(1)-憲法96条改定は全面改憲の突破口

[弁護士 佐藤真理]

  自民党安倍内閣が再登場しました。6年前、強行採決を繰り返して、「改憲手続法」を成立させ、任期中に改憲国民投票を実施すると公言した人物です。昨年暮れの衆議院選挙での自民党「圧勝」を受けて、衆議院では、改憲派が7割以上を占めるに至り、夏の参議院選挙の結果次第では、憲法改正の国民投票が、2、3年内にも実施される現実的可能性が高まっていることを直視しなければなりません。
  昨年公表された自民党憲法改正草案(以下「草案」)は、現行憲法の「全面改定」をねらうものです。その問題点を数回にわたり解説します。

 安倍首相は、国会答弁で、衆参両院の3分の2の賛成で改憲案を発議するとしている憲法96条を改定すると繰り返しています。9条改憲という年来の主張はいったん切り離し、まず改憲の発議要件を衆参各2分の1の賛成に緩和しようというのです。この発議要件の緩和を許すと、「ねじれ国会」という例外的状況でない限り、国会で多数議席を持つ政府・与党は、国民投票で勝利する見込みがあれば、いつでも明文改憲を実現できるということにになります。

 では、国民投票において、改憲をストップできるのかというと、きわめて困難です。「改憲手続法」では、有権者数や投票総数の過半数ではなく、有効投票の過半数の賛成で改憲成立としており、最低投票率の定めもないため、有権者の1割ないし2割台の賛成だけで改憲が成立します。しかも、マスメディアを通じた有料意見広告が投票前2週間を除いて「野放し」なため、資金力のある改憲派大政党や財界・大企業が大量のテレビ・スポット広告を垂れ流し「金の力で憲法を変える」事態が予想されます。
 現憲法が改憲要件を厳しくしているのは、基本的人権の不可侵性に照らし、時の多数派(政府)によって人権を侵害するような改憲を許さないためです。 

 憲法96条の改憲を許せば、その後にいくらでも改憲ができるようになります。9条や人権規定などの改憲の突破口としての96条改憲を断固阻止しなしなければなりません。

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