活かそう!守ろう!日本国憲法(4)-国民に服従を強いる天皇制へ

[弁護士 佐藤真理]

<天皇の君主化と弱まる国民主権>
 憲法は、「主権在民」を謳い、天皇は、国および国民統合の「象徴」であって、その地位は主権者である「日本国民の総意に基づく」とされています。
 ところが、自民党改憲草案は、「日本国は…天皇を戴く国家であって」と天皇を国民の上に君臨する存在と規定し、「天皇は、日本国の元首であり」として、国家を代表する権能を与えようとしています。
 天皇は「国政に関する権能」を持たず、主として形式的・儀礼的な「国事行為」のみを、「内閣の助言と承認」のもとに行うとされていますが、自民党草案では、国事行為について必要なのは、「助言と承認」でなく、「進言」(目上の者に対して意見を申し述べること)とされており、内閣の意向に反しても国事行為が可能とされかねません。現在、天皇は、憲法に定める「国事行為」以外にも、国民的行事への参加、被災地訪問、外国への公式訪問など、多くの「公的行為」を行っています。自民党草案は「公的行為」を正面から認めようとしており、何ら限定がありません。しかも、公的行為には内閣の「進言」による歯止めすら規定がありません。
 現行憲法では天皇・摂政は憲法尊重擁護義務(99条)を負うが、憲法制定権者である国民はこれを負わないと定められています。ところが、自民党草案では、逆に国民が憲法尊重義務を負い、天皇・摂政は憲法尊重擁護義務を外されています。天皇が国民の上に君臨する存在である以上、天皇は憲法に縛られず、国民が憲法に縛られることになるという発想です。

< 日の丸・君が代の強制>
 自民党草案は、「日の丸・君が代」を憲法に規定し、国民に、「尊重義務」を課そうとしています。日の丸・君が代の強制は思想・良心の自由の侵害であり、当然違憲です。ところが、教育現場での強制に関し、最高裁は、卒業式などでの不起立等の公立学校教職員に対する懲戒処分について、思想良心の自由の間接的制約に過ぎないとして「合憲判決」を出し、「戒告」処分は合理的裁量権の範囲内で「合法」とし、他方「減給」・「停職」は裁量権の範囲を超えて「違法」としました。自民党草案の下では、憲法自身が認める例外として、国民への広範な強制が強く懸念されます。

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