読書日記~「熔ける」大王製紙前会長 井川意髙の懺悔録~

〔弁護士 山﨑靖子〕

 カジノの掛け金のために子会社から総額106億8000万円を借り入れたことが会社法違反(特別背任)となり懲役4年の実刑となった大王製紙前会長の手記。

 カジノを日本で合法化しようとする法律(「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」、通称「カジノ解禁法案」)を、自民党がしつこく成立させようとしていることから、古本屋で見つけて読んでみました。

 ・・・タイトルが間違っている。9割が自慢話。自分がいかに勉強や仕事で有能であったか。残り1割はマスコミなどへの恨みと簡単な事実経過。

 「失敗しない人間などいない。人生何度だってやりなおせる・・・」帯に書いているホリエモンの惹句。これだけで本の中身が予想できたはずである。ギャンブルにどういうふうにしてのめり込んでいったのか、客観的・詳細な自己観察記録と思い込んで買った自分の不明を恥じた。まだまだ読解力が足りない。

 後悔は簡単にできるが反省は容易にはできないということがよくわかる本である。
 ギャンブルのことを知りたければ森巣博の本を読んでいる方が100倍まし。負ける気がしなくなるのが欠点だが。
 
 井川やホリエモンみたいな人間だけがカジノに行っているうちはいいが、日本でカジノが合法化されたら、自分の財布と同視できる他人の財布を持たない人間も行くことになるのは明らか。

 カジノ解禁法案は今国会でも成立しなかった。でも油断できない。

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8・22市民集会・パレードに集まろう

〔弁護士 佐藤真理〕

 国会審議が進む中で、安保法制関連法案が「戦争法案である」との認識が広まり、どの世論調査でも、8割以上の国民が「政府の説明は不十分で、納得できない」、6割の国民が「今国会での成立には反対」との意思を示しています。

 本法案は、憲法違反であり、大多数の憲法学者が「違憲」と断定しています。なによりも、強制加入団体である全国52の弁護士会がこぞって廃案を求める運動に取り組んでいます。憲法の「恒久平和主義」を破壊し、「立憲主義」(国民の権利を守るために権力者の手を縛るのが憲法の役割であり、政府は憲法の枠内でしか権力を行使できない)を否定する内容であることが主な反対理由です。

 ところが、安倍首相が6月15日、「国民の理解は進んでいない」と言明しながら、同日、衆議院特別委員会で採決が強行されました。多数の国民の意思を踏みにじり、「数の力」で押し切るのは、民主主義ではありません。安倍内閣のやり方は、もはや国民主権を踏みにじる「独裁」的手法と批判せざるを得ません。強行採決後、学生や学者の共同行動が広がるなど、本法案への国民の反対世論は益々広がりつつあります。
               ※

 安倍首相側近の磯崎首相補佐官が、「考えないといけないのは、我が国を守るため必要な措置かどうかで、法的安定性は関係ない」と講演で発言しました。政府の集団的自衛権の行使容認は従来の憲法解釈の枠内であり、法的安定性を損なうものではないとの安倍内閣の説明が「虚偽」であり、「ごまかし」であることを露呈したのです。

 安倍首相自身の「国際情勢に目をつぶって、(国民を守る)責任を放棄して従来の(憲法)解釈に固執するのは、政治家としての責任の放棄だ」との発言、また中谷元防衛大臣の「現在の憲法をいかにこの法案に適用させていけば良いのかという議論を踏まえて、(本法案の)閣議決定をおこなった。」との発言など、安倍政権の閣僚や主要メンバーは、立憲主義や「法の支配」についての基本的理解を欠いているのです。
               ※

 8月15日、終戦から70年を迎えました。15年戦争で、2000万人のアジア諸国民の犠牲を生み、日本国民は310万人が犠牲となりました。

 日本国内で、ヒロシマ、ナガサキの原爆被害、東京・大阪など各地の大空襲、沖縄戦などで70万人が亡くなりました。

 アジア各地での日本軍人の戦没者は240万人に達していますが、その半数以上が餓死者だったのです(藤原彰『餓死した英霊たち』)。しかも、240万人の遺骨の内、収容できたのは、127万人に過ぎず、約113万人の遺骨がいまだに放置されたままなのです(「毎日」8月14日)。まだ戦後は、全く終わっていません。

 「自爆テロ」の先駆ともいえる戦争末期の「特攻作戦」で6000人近い若者が犠牲となりました。国のため、天皇のため、若者の命が「鴻毛(こうもう)」(鳥の羽)のように扱われたのが先の戦争だったのです。
               ※

 戦後70年は、改憲(日米支配層)と護憲・活憲(民衆)の「せめぎあい」の歴史です。

 今、安倍政権は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないように」との不戦の誓い(憲法前文)を忘れ、日本を、再び「戦争する国」、いつでも、どこでも、切れ目なく、米国とともに海外で戦争できる国に変えようとしています。

 今こそ、主権者が声を上げるときです。

 残暑が続きますが、8月22日(今週土曜日)午後3時に県庁南側の奈良公園にお集まり下さい。奈良弁護士会が初めて、大規模な屋外集会とパレードを行います。2500人規模という空前の集会です。是非とも、友人や家族連れで、またお一人でも、ご参加下さい。

 本法案を廃案に追い込めれば、安倍内閣を倒せるだけではありません。必ず日本が変わる大きな転機になると確信します。
 
 「徴兵制 いのちかけてもはばむべし 母、祖母、女(おみな)牢に満つるとも」
                              (八坂スミ)
(2015年8月18日記)

カテゴリー: sato

アメリカの盗聴に弱腰の安倍内閣

〔弁護士 吉田恒俊〕

 内部告発サイト「ウィキリークス」は、本年7月末、アメリカ国家安全保障局(NSA)が、少なくとも2006年頃から、日本の内閣、日本銀行、財務省などの幹部の盗聴をしていたと公表しました。公開されたのは盗聴していた35の電話番号のリストと5つの報告書。経産省や日銀総裁らが使っている固定電話や三菱グループや三井グループの番号まで含まれているといわれます。しかも、盗聴内容は米国の仲間である「ファイブアイズ」(米、英、豪、カナダ、ニュージーランド)とも共有されていました。

 日本が盗聴されていることは、2013年6月に公表されたエドワード・スノーデン氏の暴露によって推定されていました。それによれば、ドイツなど友好国の首脳にも及んでおり、アメリカは国際的な会議での交渉に有利に利用していました。同氏は、NSAの契約社員として、最高機密情報に関与していた優秀なコンピューター技士で、暴露は根拠のあるものです。

 当時、メルケルドイツ首相の個人用携帯電話まで10年も前から盗聴されていた話は有名で、本年6月にはフランスのオランド大統領の携帯電話も盗聴されていることが分かりました。両首脳とも怒ってオバマ大統領に直接抗議して対応を約束させました。安倍首相の電話も盗聴されていることが強く推定されます。

 今回の文書によれば、農産物の輸入に関わる日本の立場、気候変動や原子力エネルギー、二酸化炭素排出の政策などについて、アメリカは事前に情報を把握していました。要するに、日本政府や日銀などの主要な機関及び主要産業の情報がアメリカに筒抜けになっていたのです。盗聴は今も続いている可能性があります。

 しかるに安倍内閣は、当初「知らない」「聞いていない」と繰り返し、判明した今も、直ちに抗議するどころか、「事実であれば遺憾であると伝える」などとのんきなことを言っています。政府の対応は、弱腰を通り越して、日本の国益よりもアメリカをかばう売国的・屈辱的な態度と言えます。ドイツやフランスのように、厳しく抗議して、徹底調査を求めて事実を明らかにさせ、二度と盗聴をしない約束をさせるべきです。これは主権国家として当然の態度と言わねばなりません。

 アメリカべったりの安倍内閣の態度は、今回の安保法制での議論(アメリカの他国侵略戦争に対して、地球の裏側でも自衛隊を派遣して戦争をする。カナダとも軍事協力する、ということ。)と軌を一にするものであります。

高校生模擬裁判選手権

〔弁護士 冨島 淳〕

 8月1日(土)に、「高校生模擬裁判選手権」なるものが開催されました。同選手権は毎年高校生の夏休みに開催されているもので、今年が9回目の開催となります。高校生が検察官チーム、弁護人チームに分かれ、現実の裁判さながらに被告人の有罪・無罪を巡って証人尋問・被告人質問等を行います。

 関西圏では大阪地方裁判所を会場として行われ、奈良県からは西大和学園高等学校の生徒の皆さんが出場し、私は同校を支援する弁護士として、同校の模擬裁判の準備に参加しました。

 今回はメンバー全員が模擬裁判選手権に初出場ということで、何をどう準備して良いのか、全て手探りで始まりました。また、定期試験や普段やっている部活、文化祭の準備などなど、他の活動と掛け持ちの生徒さんも多く、本当に忙しい合間を縫っての準備となりました。そのため、最初のうちはなかなか準備が進まないという状況だったのですが、本番が近づくにつれ、どんどん熱がこもってきて、最後のラストスパートで急成長を見せてくれました。

 本番では、大阪地裁の法廷で実際に証人尋問などを行い、準備してきたことを堂々と発表してくれました。結果は残念ながら入賞とはなりませんでしたが、本当によく頑張ったと思います。あとは、この悔しさをバネに、来年も頑張ってくれることを願うばかりです。

 このような活動も、弁護士としての大切な仕事だと思いますが、私にとってはむしろ、仕事の合間のリフレッシュと、自分ももっと頑張ろうと思えるだけのパワーをもらえることに繋がっています。来年も良いものが見られるといいなぁと、今から楽しみにしています。