南スーダンから自衛隊の即時撤退を求める

[弁護士 佐藤真理]

政府与党が、多数の国民の声を無視して、安保法制(戦争法)を数の力で成立させた「9・19」から1年以上経ちました。今年の9・19には、全国300か所以上で、戦争法廃止、立憲主義回復を求める集会・デモが行われ、近鉄奈良駅前でも600人集会が開かれ、私が主催者を代表して挨拶しました。

1992年のPKO法制定後、日本はPKO参加5原則<停戦合意の成立、受入れ同意、中立的立場の厳守、これらの要件が崩れた場合には部隊を撤収する、武器使用は生命の防護のための必要最小限に限る>のもとで、自衛隊の海外派遣に踏み切り、国連PKOに参加してきました。しかし、国連PKO自体、かつての停戦監視・兵力引き離しなどを中心とする活動から内容が大きく変化しており、南スーダンPKOを含め、国連安保理から武力の行使を容認されるのが通例となっています。

南スーダンでは、本年7月に大統領派と副大統領派の大規模な戦闘が発生し、市民数百人や中国のPKO隊員が死亡しています。アムネスティ・インタナショナルは、この7月の戦闘の際、政府軍が多数の住民を虐殺し、レイプや略奪を行ったとする報告書を公表。同報告書では、反政府勢力が国連の避難民保護施設に逃げ込み、避難民を「人間の盾」にしたこと、国連施設の真正面で5人の兵士にレイプされた女性の証言なども紹介し、国連PKOが住民を保護する責任を放棄したとして、「失望した」と述べています。10月8日には民間人を乗せたトラックが攻撃を受けて市民21人が死亡するなど、暴力や武力衝突が増加しており、南スーダンの現状は、もはやPKO5原則が崩れていることは明らかであり、速やかな自衛隊部隊の撤収が必要です。

にもかかわらず、政府は、違憲の「改正」PKO法に基づき、南スーダンの国連PKOに参加している陸上自衛隊に対し、「駆け付け警護」と「宿営地の共同防護」の新任務を付与する構えです。

しかし、自衛隊員に、「駆け付け警護」や「宿営地の共同防護」などの新たな任務を付与し、これらの任務遂行のための武器使用を認めるならば、憲法の禁じた「武力の行使」に発展し、「殺し殺される事態」<自衛隊員が政府軍や反政府軍の兵士を殺傷したり、自らも犠牲になる事態>を招くことは避けられません。

「改憲」を公言する安倍首相は、戦前のような「軍事大国」を目指す「妄想」にとりつかれているに違いありません。この道は「亡国」の道です。憲法9条のもと、非軍事平和主義=「世界の紛争に軍事的に関与せず、紛争の平和的解決に徹する」という戦後71年に及ぶ平和国家・民主国家という日本の原点の大転換を狙う、安倍政権の暴挙を絶対に許すわけにはいきません。

南スーダンから自衛隊は速やかに撤収し、憲法9条に基づいた民生支援の抜本的強化に尽力すべきです。
(2016年11月1日)

広告