事務所法律講座(相続と遺言)のご報告 ( 第2回)

[弁護士 吉田 恒俊]

前回の続きです。

3 遺言をした上で解決した事例
子ども達が仲良く遺産を分割することが、亡き親として何より嬉しいことでしょう。

(1) 解決事例③ 98歳でなくなった医師は、生前は奥さん亡き後20年以上も2人の女性に世話をして貰っていた。羨ましい御仁であった。子供は7人。彼は公正証書を作り、2人の女性に少しと、大部分の遺産を子らに公平に分ける、という内容的には平凡なものであった。但し、分け方はすべて遺言執行者である私に任せるというものであった。
財産は、預金、株式、ゴルフ会員権、不動産など沢山あったので、毎週土曜日に全相続人に長男さんの家に集まって貰い、皆さんの意見を聞きながら、具体的な分け方を検討して、分割案を練り上げていった。欲張りなことを言う人が一人でもいたら、私が遺言に基づいて強制的に分けますと、念を押したので、7,8回の集まりの最後まで円満に分割が終わった。

(2) 解決事例④ 会社の会長さんで、亡くなる半年ぐらい前に私が病院のベッドに見舞いに行ったときに、自筆証書遺言を作った。すべてを長男である社長に相続させるというものであった。会長の子どもには長男、長女、二女及びお妾さんに子が一人いた。自筆証書であっても法的効力は公正証書と何ら変わらない。この遺言のお陰でもめることはなく、他の相続人には遺留分として金銭で解決した。

4 相続人がいない解決事例
近しい人でも相続関係にない場合があります。その方には法定相続人がおらず、多額の財産を残してなくなった場合、遺産は宙に浮きます。そんな場合、近しく付き合っていたり、面倒を見ていた人は、特別縁故者として遺産の一部を取得できる場合があります。

(1) 解決事例⑤ 叔父さんがなくなり、その妻Aがいるが相続人はいない。義理の甥に当たる依頼者は、Aさんの療養看護を10年以上続けてきた。Aさんはかなりの財産を残してなくなったので、私は家裁に相続財産管理人の選任を求め、次いで依頼者を特別縁故者として遺産の分与を求めた。全財産の分与が認められた。

(2) 解決事例⑥ 私が相続財産管理人として関与した事例で、姪が亡くなり叔母2人が葬式など最後の面倒を見ただけというのがあった。1億円以上の遺産があったが、特別縁故で一人300万円が認められ、残りは国庫に入った。生計を同じくせず、療養看護もしていない場合としてはこんなものであろう。

☆次回は、「5 課税との戦いで解決した事例」の中から、2例を報告します。ご期待下さい。

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