新元号「令和」の意味(続)   (友好と平和の時代に)

[弁護士 吉田 恒俊]

桜とぼたんの華やかな時が過ぎて、鮮やかな新緑の季節が巡って参りました。前回令和の裏の意味を考えましたが、今回はそうは言っても戦争のできる国を目指す安倍首相の思い通りにはすべきでないとの思いで、「令和」をとらえ直しました。

新元号で騒々しかった世間も早くも落ち着いてきたようです。読者の皆様は1ヶ月半を経て、新元号「令和」に対する印象は変わりましたか。考案者の中西進氏によれば、令は「麗しい」、和は「平和」と「大和」を表現し、令和は『麗しき平和をもつ日本』という意味だそうです。前回述べた「令和」の裏の意味に加えて、この間私は「レイワ」という語感が冷たい感じがしてきました。令と冷の字が似ている上、発音が「霊」を連想させるからでしょうか。それに「令」の字は命令の令ですから、そこからも冷たい政治を感じさせます。

そうは言っても、令和はこれから元号としてあり続けるでしょうから、私は前向きにとらえたいと思い直しました。2つの文字は万葉集から採られましたが、それはまた中国の古典である文選という書物に源を持つものということが明らかになりました。

これまでの日本の元号は全て中国の古典(漢籍)から採用されたそうですが、だからといって今の中国を感じた人はいなかったと思うのです。中国の古典は同時に日本の古典であり、日本文化に根付いています。何ら恥じることはありません。仏教も中国から伝わって今や中国より日本で定着しています。西洋文化もルネッサンスでギリシャ、ローマの文化を承継して発展したものであり、ドイツやフランスの文化にとっても原点であることを誰も否定しません。文化を語るのに国にこだわる必要はないのです。

安倍首相があまりに「国書」を強調するので、逆にこれまで意識しなかった「中国」という国を私たちに印象づけることになりました。そこで、私は、新元号が日本と中国の双方の古典から採用されたものと受け止め、日本と中国ひいては日本と同じ漢字圏である北東アジアの平和と友好を象徴する言葉として、前向きの気持ちでとらえたいと思うのです。それよって、令和という時代が戦争のない平和な社会を作ろうとする人々を励まし、日本人の真の願いと現天皇並びに考案者の期待にも応える、本当に「麗しき平和をもつ日本」を実現させることにもつながるのではないでしょうか。

もっとも、仕事上年号と西暦との換算にいつも苦労しています。明治、大正、昭和、平成に加えて令和が入りますと、さらにややこしくなります。暦は一つに統一されるべきと考えます。裁判では1年でも間違いますと時には致命傷になりますから、換算にはことに気を遣います。それでも政治は年号を押し付けてきますから、それなら前向きにとらえようと思った次第です。
2019/05/12

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