平和憲法を護り、活かすために地道に活動を続けます

[弁護士 佐藤 真理]

 78年回目の終戦記念日を迎えました。
 日本は、憲法9条を持ちながら、安保条約の下、米軍の駐留が続き、自衛隊の戦闘力年々増大してきました。
 憲法9条があるので、1950年代の朝鮮戦争、1965年から75年のベトナム戦争で、韓国やベトナム人民が多大の犠牲者を出しましたが、日本の自衛隊員が犠牲になることはありませんでした。また、2001年の9・11同時多発テロ後のアフガン報復戦争には、小泉内閣は、テロ特措法をつくって、自衛隊の護衛艦をインド洋に派遣し、2003年のイラク戦争には、「イラク特措法」により、非戦闘地域に陸上自衛隊が派遣されたものの、1度も自衛隊員が武器を使用することはありませんでした。米軍に追随して自衛隊派遣を強行しようとする政府も、憲法9条を守れと自衛隊派遣に反対する民衆の運動の力で、かろうじて「戦争しない国」を続けることができたのです。
 しかし、今、「新たな戦前」ではないかとの指摘がなされているように、日本は、「戦争か平和か」の歴史的岐路に立たされています。
 
 岸田政権は、あの安倍政権以上に危険な政権です。岸田政権が昨年末に国会にも図らずに閣議決定で決めた「安保三文書」の狙いは3つあります。
 第一は、中国との軍事対決、「台湾有事」に際して日本が武力も含めて加担することができるように自衛隊を「攻撃的軍隊」に全面改造することです。
 第2の狙いは、日米軍事同盟を文字通り「戦争する同盟」に変えることです。日本が配備するミサイルも、日本単独で行動するのではなく、米国の対中軍事包囲網の一角として米軍の指揮統制下での運用です。岸田政権は、外交においても、従来の対米追随外交の枠をはるかに超えて、G 7、米・日・印・豪のクワッド(QUAD)、NATO諸国との連携など米国中心の対中包囲網外交に精力的に動いています。
 第3の狙いは、こうした憲法蹂躙の軍拡を実現するための大増税、国民負担増の正当化です。

 これらを実行するには、政府自身が積み重ねてきた自衛隊に対する憲法の制約を根こそぎ破棄しなければならなくなります。自衛隊は憲法9条が禁止している「軍隊」ではないと強弁するために自ら設けてきた制約をなくすために、9条自身を変えなければなりません。岸田政権は安倍政権もできなかった明文改憲を急がざるを得なくなっているのです。憲法との矛盾は明らかで、その追及が不十分なメディアの責任も重大です。

 9条の会呼びかけ人の澤地久枝さんは、長年『アベ政治を許さない』のプラカードを掲げて、国会正門前の「3の日行動」に参加されていますが、猛暑の今夏も背中の痛みをおして『平和の旗 降ろしません』とプラカード掲げて、国会前行動に参加されています。

 平和を希求する私たち一人一人が、声を挙げ、行動に立ち上がるときでしょう。「平和、いのち、くらしを壊し、市民に負担を押し付ける軍拡、増税に反対する請願署名」を急いで広げましょう。
 少人数でも、憲法を護り活かすための学習会を開いて下さい。ぜひ、一緒に議論したいと思います。
                          (2023年8月15日)